プロレスラー講演会を実現したい人へのアドバイス

    合言葉は「今しか出来ないことをやる」

本当に呼びたいレスラーを呼ぶべし

呼ぶには当然お金が要る。人気レスラーの場合、それなりの金額が要求される。しかし、どうせ呼ぶなら旬のレスラーを呼ぶべきである。私達の研究会はサークル連合からも未公認のインディーサークルだった。補助金等は一切出ない。どうしてお金を工面したか?10数人のメンバーでお金を出し合いまとまったお金を作った。三沢を呼んだ時はかなりの額だった。半分の金額で他のレスラーを呼ぶことも出来た。しかし、それでは意味が無いのだ。当時の全日本プロレスとの交渉時、最初は鶴田狙いだったが、スケジュールが空いておらず、三沢なら大丈夫と言う話になった。しかし、いかんせん金額が高すぎる。ミーティングを開いた。さすがに「その金額を出してまでも」と言う意見もあったが、「あの三沢を呼べるチャンスなんだ。きついけどやろう」という私のワガママな意見に皆納得してくれた。今でもあの時の決断は間違っていなかったと思っている。なにしろ、観客動員は歴代一位。盛り上がりも最高の内容だったからね。旬の三沢だからこそモチベーションも下がらず講演会当日まで全力で取り組むことが出来たのだと思う。妥協はしてはいけない。

お金について補足しておくと、呼ぶのに必要なお金は出し合って用意したが、その他にポスター、ビラ等の宣伝費等も必要になる。ポスターは作ると結構金がかかる(印刷会社に依頼:当時モノクロで1枚300円ぐらい、100枚単位で)が、ポスタには余白スペースにスポンサーの広告を取り付けた。これはもう足で探すしかない。いくつかの会社・店に協力してもらいポスター、ビラ代ぐらいにはなった。入場券も有料にした。無料にして超満員を狙う手もあったが、打ち上げのお金ぐらいは欲しかったし、やはりプロレスファンで会場を埋めたかったからね。

出演交渉は値切り倒すべし

貧乏サークルだったのでとにかく無駄な出費は抑えたかった。相手側からは講演会料とは別に交通費も請求される。しかも、レスラー一人ではなく、マネージャーも来るので2人分必要になる。広島までだと2人で往復約8万円。それで、講演会料をディスカウントできなければ、交通費込みということにしてもらい節約した。広島と言うことで宿泊料を請求された時もあったが、もちろん断り日帰りで勘弁してもらった。

お金の心配の無い人はここから読んで下さい。

・入場シーンで客をつかむ

 出来れば暗転にしてスポットライトを使用する。入場テーマ曲はもちろんオリジナル曲で。機材に関しては学祭の 実行委員が仕切っていると思うが、実績を作っていけば優先的に使用させてくれるようになる。そのことも頭に入れて行うべし。入場シーンで自然とコールが起これば成功したも同然。

・企画は自分達独自のもので

よく大学のプロレス研究会主催なのに司会を雑誌社やプロレス団体の人にやってもらっているところを見かける。私に言わせれば、何で自分達で呼ぶのに外部の人間に任せるのか理解できない。慣れた人にやってもらうほうが安心だと思う人は講演会を企画する必要は無い。観客として見に行けばいいのだ。確かに素人の司会では進行がスムーズに行かなかったり、思わぬハプニングがあったりと大変ではあるが、逆にいえばそれが良い所だと思う。在り来たりの講演会にしてはならない。自分達のカラーを出せるかどうか。いわば、招聘レスラーと自分達との戦いでもあるのだ。司会はメンバーの中から選びましょう。

講演会の内容としては、まずはトーク。基本的には独演会でやってもらいました。メンバーを交えてのトークショーの場合もありました。そして、2部として独自企画。ここが我々の腕の見せ所。すべるのも覚悟の上で、自分達のやりたい企画を持ってきました。

ライガー:トークショー。初めての講演会だったので無難にまとめました。

大仁田:メンバー同士でプロレスの技を実際にかける。その技についての解説や思い入れなどを語っても らった。非常にヒヤヒヤものの企画だった。心理テスト、仮装をして色々な心理ゲームを行った。結構受けた。

三沢:お客さんを何人か壇上に上げ、三沢選手に関するクイズを出題。マニアックな問題を用意したため、なかなか正解が出ず困った。全日に欠かせないサインボール投げ。盛り上がりますよ。

ブル中野:広島大学が総力をあげて作製したと言う触れ込みで嘘発見器が登場。もちろん、これまた段ボールとペイントしたメンバーによるものだったが、練りに練った質問と司会との掛け合いが見事にマッチして大受けだった。

北尾:八百長発言の週プロ、北尾著書の暴露本など、一番やばい企画を用意。北尾が怒って帰る心配もあったが、かなりの突込みにもにこやかに受け答えしてくれ無事終了。お客さんの聞きたかったことを全て網羅した素晴らしいトークショーだった。武輝道場3人組によるキックや関節技の解説。サンドバック持参の上、快くやってくれた。

藤波:トークショー、マッチョドラゴンのレコードを持っている私には飛んで火にいる夏の虫状態だった。

3部に質問コーナー。この時質問してくれた人にグッズをプレゼント。事前にこれも交渉しておく。結構持ってきてくれる。「技をかけてください」と言う質問が出るが、一人だけにしたほうが良い。きりが無いんでね。

自分達で講演会を作り上げていくと言う気持ちが大事である。

追記(11月8日)

他の講演会ではやっていない独自企画を忘れていました。

人数限定(約50人)でサイン、握手、写真撮影(2ショット)を行っていました。今考えると破格のサービス。よその講演会では滅多にやっていませんよね。

これも事前交渉次第です。人数は最大で50人。平均して30人ぐらいなら何とかできるかなって感じです。サインは大学到着後控え室で書いてもらいます。慣れているだけあってすぐに完了します。講演会の全プログラムの終了後、サイン券付きチケット購入者に残ってもらい一人ずつレスラー本人からサインを貰い、握手やノリのいい人だと技をかけながら写真をとります。これは非常に好評でした。ただし、プロ研メンバーにはかなりの負担になりますが。(カメラを持っていない人にはプロ研所有カメラで撮り後日郵送していました)

 

・宣伝方法は手当たり次第に

 テレビ:夕方のニュース番組。「○○を持って集合」というコーナーがあったので、テレビ局に電話し「プロレスグッズにしてください」と交渉し、出演。そこで宣伝もやらせてもらいました。

地方ローカルの番組に出演交渉。深夜枠などはかなりの確立で出してくれる。一度、バラエティ番組に出演。サークルBOXに島木ジョージがきて皆でぱちぱちパンチをやったこともあった。とにかくテレビ局に出 れそうな番組がないか交渉してみること。

 ラジオ:これもローカル番組が狙い目。交渉次第。

 雑誌:プロレス雑誌はもちろんのこと、タウン情報誌は狙い目。

 ポスター:結構宣伝効果がある。夜中に手分けして貼りまくった。

 ビラ配り:中学、高校の登下校を狙って行った。先生からは白い目で見られるが気にすることは無い。

       プロレス会場前でのビラ配りはかなりの効果がある。絶対にすること。

繁華街でのビラ配り:サンドイッチマン姿でのビラ配りはかなり恥ずかしいが、度胸試しも兼ねて行なうと良い。慣れるとマスクを被りながら高島屋に入ったりも出来るようになる。

・無駄を楽しめるぐらいの余裕はもつべし

 上記宣伝の効果の程はかなり?であるが、楽しみながらやらねば意味が無い。人生経験としてはこれ以上のことはない

・時には喧嘩になるまで議論しあうべし

 毎回、2部の独自企画を決める時は激論になった。最初の頃には無かった発想が、そうした積み重ねでぽんぽん出てくる。「自分の意見を述べる、相手を説得する、相手の話を聞く、理論的に物事考える」そういった技術が自然と身についてくる。卒業する頃にはディベートの達人となる。

・答えは何通りもある。終わった後に泣けるかどうかだ

当日は、「やるだけの事はやった」と思える状態で迎えて欲しい。客の入り、会場の盛り上がりは、もはや関係なくなる。終わった後の達成感はやったものにしか味わえない貴重な経験となるだろう。打ち上げで熱いものがこみ上げてくれば大成功である。

成功を祈ります

蛇足ですが、私は就職活動の時「講演会」の話で面接を乗り切りました。4年前ですから今程ではないにしろかなりの就職難でした。しかし、学生時代に何かに打ち込んだ人間はやはり評価されます。自信を持って「私は学生時代プロレス研究会に所属しており・・・」と言えるような人であって欲しいですね。